【第三話】 恋木神社

 人はブランドに弱い。神社だって同じ。菅原道真という誰しも一度は聞いたことのある名前が前に出ていることで、いかがわしいものなんじゃないかという疑いは晴れた。 実際に来てみると、「あふれるほどの愛に恵まれますように。素敵な出会いで幸せになりますように」と願いの込められた恋木鳥居にはハートが10個もデコレーション、いや、飾られている。恋参道と呼ばれる参道もあり恋木絵馬、ハート陶板守などのグッズ・・・・・・って言っていいのかな、まあ、そういうのも販売されていた。もちろん買えるグッズは全て買ってしまったんだけど。 樹齢600年の幸福の一位の木という木もあり、左・右・左と回ると、幸せが訪れると言われていて、瑞希と一緒に声を出しながら、少し照れながらも回ってみたりした。 良縁成就のお祭りが行われる月と前の月の2月3月、10月11月はおみくじがピンク色に変わるらしく、たまたま自分が行った月が2月だったので、「なんかタイミングいいじゃん」とか言ってテンション上がっていた。今考えると、1年のうちに4か月あるのだから、3分の1って結構な確率だなと思うけど、旅に出ると人は全ての体験にプレミア感をつけたがる。やらないと思っていた御祈願もお願いした。初穂料、5000円。 御祈願が終わったころには、最初あった恥ずかしさなんてすべてすっ飛んでいて、本当にいい出会いがあるんじゃないかと思える力強さがみなぎっていた。祈ることはすごい。神様に祈りながら自分で自分の背中を押すからだ。

イラスト

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