【第二話】 とこやさんの魔法

【第二話】「とこやさんの魔法」 田中里奈  幼い頃、自分が眠ると世界中の何もかも、全てが一緒に眠ると信じていた。 寝る前に母が絵本を読んでくれる時間が終わると、私は布団にもぐりこみ、母の身体に身を寄せながら、絵本の向こう側に広がる世界を想像した。 その世界では、私は時にカラスのパン屋さんで働き、時に継母に妬まれる美しいお姫様になって白馬の王子様に助けられ、たまに森の中の小さな家で暮らす幸せな家族の一員にもなった。勇敢な勇者になって冒険をしたこともある。 動物たちはいきいきと喋り、植物は動き出す。そして自分勝手で都合のいい妄想物語は際限なく繰り広げられた。まるで自分がその絵本の主人公・・・ というよりも、万物を操る神様になったかのように。

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